HGF遺伝子治療用製品の開発方針決定に関する補足説明
先ごろお知らせしました「HGF遺伝子治療用製品の米国での開発方針決定及びベーリンガー・インゲルハイム・バイオファーマシューティカルズ社との原薬供給契約に関するお知らせ」及び「HGF遺伝子治療用製品についてアンジェスとベーリンガー、製造に関する協業を開始」について、その詳細をご説明します。
Q:HGF遺伝子治療用製品の米国での開発方針が発表されましたが、今後は臨床試験をすることなく生物製剤認可申請(BLA)に向けて準備を進めるということですがこれはどういうことですか。
A:8月8日のプレスリリースの発表にあるとおり、米国FDAと協議した結果、第II相臨床試験の結果が大変優れていたことで、今後臨床試験をすることなく、これまでの臨床試験の成果を持って生物製剤承認申請(BLA)に向けて準備を進めて行けることになりました。HGF遺伝子治療用製品は、ブレイクスルーセラピー(画期的新薬)指定を受けておりますが、その前にファーストトラック(迅速審査)指定も受けており、FDAの当製品に対する期待が伺えます。
今後臨床試験がなくなることで、承認までの時間と、費用の削減が可能となり、当社業績改善のペースが上がることが想定できます。
これからもBLA申請及び承認に向けて万全の体制で臨んで参ります。
Q:ドイツのベーリンガーインゲルハイム(BI)と原薬製造に関する契約を締結しましたが、この契約の意義はどのように捉えればよいですか。
A:BIには、これまでの臨床試験に必要な原薬製造を委託していましたが、米国においてBLA申請を行い、承認を得て、米国での本格的な市場展開に向けた準備を進めていくにあたり、今後も協業を継続することになります。山田社長は、1980年代後半から1990年代前半にかけて米国バイオ企業の老舗であるGenentech社と仕事をしておりましたが、その当時BIはGenentech社と連携しており、Genentech社の創業者兼CEOのボブ・スワンソンは、BIを「信頼できる素晴らしい会社」と高い評価をしていました。まさにBIは世界を代表するバイオ領域の老舗の会社であることは間違いありません。
当社は、これからは米国を皮切りに世界展開していくことになります。BIはそのためにも欠かせないパートナーとなります。
今回の契約締結はBIのWebサイトにも掲載されており、BIも重要な契約と認めているものと思われます。
Q:HGF遺伝子治療用製品の市場は米国を優先して進めていくことになるようですが、その判断の根拠はどのようなものなのですか。
A:米国における開発は、重篤な症状の患者を対象とするのではなく、軽症から中等度の患者を対象として、重篤な症状にならしめない治療としたことが日本での開発との違いです。 この考え方は、癌の治療法に近いもので、米国の臨床試験は見事に成功しました。そして米国の市場は世界中を見渡しても大変大きく、その対象患者は50万人規模と推定しています。このような状況から、まず米国FDAの承認を取得して、その後、日本を含めた世界展開をしたいと考えています。
Q:HGF遺伝子治療用製品は米国の臨床試験で成功を収めてこれから世界展開していくわけですが、その展望はどう考えていますか。
A:当社は規模の小さいバイオベンチャー企業ですので、通常の競争では開発も販売も世界の大手企業には勝てません。従って当社の基本方針は、競争に勝てる当社独自のオンリーワン製品、他社が追随できない製品を持つことだと考えています。HGF遺伝子治療用製品はまさにこの方針に当てはまります。これまで、当社単独で戦略的開発を進めることができましたが、これからの本格的販売となると世界市場で販売の経験がある大手製薬企業をパートナーとして連携することが必要になると考えています。
Q:HGF遺伝子治療用製品の論文の発表はどうなりましたか。発表後どのような展望がありますか。
A:ご存知のように、米国のArmstrong教授とConte教授らの功績によって米国での臨床試験を成功させることができました。その成果を当該領域の一流誌に発表することが、当製品の有効性を多くの専門家に知らしめる大事な手段となります。そしてこれらの教授が指摘しているように、米国では20年間に渡りこの病気に有効な治療法を求めてきましたが、この病気の解決策は、HGF遺伝子治療用製品を用いて重症になる前に治療を施すことにあるという結論に至りました。それだけ画期的な治療法がもうすぐ承認される状況になったということです。この論文が発表されることで、米国の販売を担う大手製薬企業のパートナーと本格的交渉をすることになります。一日も早い論文の発表を待っています。