若手優秀演題賞を受賞した研究員にACRLの活動について聞いてみました(1)
先日の、「日本マススクリーニング学会における受賞のお知らせ」について、発表を行った大星研究員に今回の受賞について説明してもらいました。
Q:今回受賞した発表内容はどのような内容だったのでしょうか。
A:今回の発表は、ACRLで実施している拡大新生児スクリーニングの陽性者に対する二次スクリーニング技術の開発について発表しました。
Q:これまで、二次スクリーニングは行われていなかったのですか。
A:はい。これまでは拡大新生児スクリーニング検査で陽性となると、精密検査を受ける必要があり、二次スクリーニングは実施されていませんでした。
Q:二次スクリーニングと精密検査ではどのような違いがあるのですか。
A:精密検査では、検査のための検体を再度採取する必要があり、それが被験者である新生児や医療関係者の負担になっています。一方、二次スクリーニングでは、最初のスクリーニングで使用したろ紙血を使用するため、新たな検体の採取は不要です。
Q:二次スクリーニングを行うメリットは新たな検体の採取が不要であるということなのですね。
A:二次スクリーニングのメリットは、検体の採取が不要なことに加え、最初のスクリーニング検査で陽性となった新生児のご両親に、赤ちゃんが希少疾患かもしれないという心配をかけずに、更なる検査ができることにあると現場の先生方からコメントをいただいています。
Q:二次スクリーニングによってどのくらい陽性の被験者が減るのですか。
A:疾患の種類や、最初のスクリーニングで使用する検査方法などによっても異なりますが、1/10から1/200くらいまで減ると想定しています。今回、私が発表したムコ多糖症の一次スクリーニングでは、陽性の結果が出た被験者の多くが偽陽性で、精密検査ではほとんどが陰性となるのが現状です。
Q:それほどの効果があるのであれば、医療現場からの要望も多いのでしょうね。
A:はい。先日の発表をみたという先生方から、既に「いつから依頼できるのか、実施時期を教えてほしい」と複数のお問い合わせをいただきました。
なるほど、今回受賞した発表内容が医療現場にとって重要なものであったことがよくわかりました。
次に、ACRLで実施されている拡大新生児スクリーニングの重要性について教えてください。(次回に続きます)