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2022.04.05

3月30日(水)、株主総会および会社説明会を開催いたしました

3月30日(水)、アンジェス株式会社 第23期定時株主総会および会社説明会を開催いたしました。
今回の開催にあたり、健康状態によらず来場の見合わせをご検討いただいたり、ご来場された方におかれましては、検温・消毒やマスク着用の徹底にご協力いただくなど、株主の皆さまには多大なご協力を賜り、改めて御礼申し上げます。


株主総会の後に行いました会社説明会では、当社のことをより深くご理解いただくべく、資料を使ったプレゼンテーションとは別で、森下先生と山田社長からお話をさせていただきました。

森下先生はアンジェス創業時や研究開発のエピソードを、また山田社長は(2002年の)社長就任時からの思いをお話させていただきましたが、その様子は株主様向け特設サイトで4月12日(火)まで閲覧可能ですので、ぜひご覧ください。

※特設サイトのURLおよびQRコードは、3月上旬に招集ご通知とともに郵送いたしました、株主通信(第23期 アンジェス通信)の背表紙に記載しております。


本ブログでは、事前にお寄せいただいたご質問および当日会場にお越しの株主様からのご質問に関して、回答をレポート形式で紹介します。


質問:新型コロナウイルスワクチンの開発で、他社の後塵を拝しているような状況ですが、今後の見通しについて教えてください。

森下先生からの回答:残念ながら、ファイザー社やモデルナ社等、欧米企業の後塵を拝しているのは事実かと思います。DNAワクチンは非常に魅力的で、WHO(世界保健機関)でもワクチンの概念を決めているぐらい今後の将来性を認めてくださっています。
ただ私どももやはり準備不足があったと感じています。日本では感染症というのはもう終わった病気だ、というのが世間一般の認識で、(感染症の)研究者の方もほとんどいませんし、製薬企業で感染症の研究に取り組んでいる会社も昔からのワクチンがあるだけで、新しいタイプのワクチン開発に取り組む企業は、我々含めてありませんでした。そういう意味で、どれぐらいの量を打てばいいか、あるいはどういう打ち方がいいかという点に関して、手探り状態でした。
一方、モデルナ社は、アメリカ軍の支援を受けて開発を10年以上行っていました。
理由は、2001年9月11日の大規模テロが発生した際に、アメリカでは、炭疽菌がばら撒かれたりする等、バイオテロがありました。未知のウイルスや病原菌に対して速やかに、かつ大量にワクチンを作らなきゃいけないということがあり、アメリカ軍がモデルナ社を毎年何十億(ドル)の支援をしていました。
私どものDNAワクチンに関しては安全安心という点が重要で、いきなりたくさんの量を打つということができず、また数億人規模に対応する製造施設が出来上がっていませんでした。そうしたこともあり、少ない用量から始めていかざるを得なかったというのがあり、残念ながら後塵を拝してしまいました。
ただ、今回の新型コロナウイルスで分かったことは、変異株がどんどん出ることによって、ワクチンの効果がゼロになってしまう可能性があります。そうした変異株の世界的な大流行に備えるためにも、やはり遺伝子治療技術を用いたワクチンでないと立ちゆかないことが明確になったと思います。(ファイザー社やモデルナ社など)mRNAワクチンの開発を行っている会社にも言えますが、DNAワクチンの開発を行っていることは大変重要な意義があり、私どもとしては今回の新型コロナワクチンの開発を継続するとともに、これから来るかもしれない、新しい未知のウイルスに対しても、今度は短期間で出来上がるような技術的な基盤を作って、いつでも対応できるようにしていきたいと思います。
そういう意味ではワクチンは、医薬品とは違って、国の安全保障に関わる根幹的な部分であります。
後塵を拝しているかもしれませんが、これは次のウイルスが来たとき、あるいは更なる変異株が出たときにはすぐに対応できる体制が出来上がってきました。
株主の方には、(新型コロナウイルスワクチンの)実用化がまだ出来ていないという点では大変申し訳ないと考えておりますが、一方で今回の新型コロナワクチンの開発に取り組んでいることで、アンジェスは次の危機に対応する会社の一つになったとも思っていますので、引き続きご支援をお願いしたいと思います。


質問:新型コロナウイルスワクチンの開発に関して、第III相臨床試験まで実施しなくても、第II相臨床試験で承認を得られるということを耳にしたことがありますが、現在の状況を見ていると、第III相臨床試験まで実施しないといけないのでしょうか。

森下先生からの回答:今まで(新型コロナの前まで)は、国内でワクチンを認める条件として、数万人単位の大規模な試験は求められていませんでした。これは発生する数が少なかったことが背景にありましたが、今回の新型コロナウイルスに関しては、WHOから、数万人規模の発症を抑制する試験をしなければいけないと決められました。それに合わせて厚生労働省も、従来とは違う基準で、ワクチンの認可を始めました。その代わりに補助金を出すということで、他社も含めて同じルールのもとに進めているという状況になっています。
現在、薬機法(いわゆる薬の法律)について国会で議論されております。アメリカでは緊急使用承認、つまり海外で認められたものは特例承認の形で認める制度がありますが、日本国内でも緊急時には使用できるように、ワクチンの使用を認める法律の改正が国会に係るところにきておりまして、薬機法が変わると、承認の仕方も変わる可能性があります。ただ、新型コロナウイルスに関しては、既に存在しているので対象にならないと思いますが、新しい・未知のウイルスが世界的な大流行になればおそらく、最終の試験を待たずして承認という道も開かれるものと思います。
ルール変更に関しては、感染状況等にもよって大きく変わります。またその国ごとにも変わってくるので、新型コロナウイルスワクチンに関しては会社側の都合だけでは済まないことがあります。国の方策も見ながら、開発を進めていくということになろうかと思います。


質問:現在、日本でオミクロン発生のBA.2が流行しています。特に高齢者の重症が問題になっています。DNAプラスミドワクチンは液性免疫の惹起がmRNAワクチンよりは劣るということですが、そこで腸内のパイエル板を刺激して、液性免疫を惹起する効果があるアジュバンドになりうる経口薬および食べ物はあるのでしょうか。またそれに関して研究されているのでしょうか?

森下先生からの回答:いただいたご質問は、ワクチンと一緒に使うことで(液性免疫が)増えるような食べ物・食品はあるかということに関してだと思います。こちらに関しては、一般的に免疫を活性化するようなものが望ましいことが分かっているので、乳酸菌の類やβグルカンは、そういう(免疫を活性化するという)報告があります。 我々も研究レベルでやっておりますが、ヒトに対してどうかと言うと違う話になり、機能性表示食品というのが既に発売されております。
一方、免疫反応を上げるためには、腸のパイエル板以外にも皮膚の下にある樹状細胞を刺激すると、免疫反応が上がることが分かっているので、皮下へ打つデバイスを使用しましたが、非常に使い勝手が良いということがわかってきましたので、こういうものを利用することで少ない量で有効性を上げることもできてくると思います。今後も引き続き研究開発を進めていくことで、より有効性や安全性の高いワクチンが出来るのではないかと思っております。


質問:新型コロナウイルスワクチンが高用量で承認となった場合、年間での生産量もしくはその生産能力を鑑みて、どれくらい年間で作れるものなのかどうか。また、皮内(投与)と筋肉(投与)でも変わってくると思いますが、その販売価格についてお答えいただきたいです。

山田からの回答:この生産については、これまでタカラバイオ社に、国からの資金も含めて一緒にお願いをして進めてきた経緯がございますが、元をたどると海外の施設が既に先行していました。例えばドイツでは20年前からDNAプラスミドの製造を進めておりました。また、カネカ社が買収したユーロジェネティックも10年以上前から既にその技術を確立していました。こういった各社の経験則を踏まえて、実はいくつかケーススタディをして計算値も出しています。
しかしこの結果についてのコメントは控えさせていただきます。少なくとも、従前の組替体やmRNAワクチンよりは安価な値段で製造することができるということは間違いございません。


質問:3月22日、AMED内にSCARDA(先進的研究開発戦略センター)が設置されましたが、このSCARDAはアンジェスの事業に対してメリットになるのかということをお聞きしたいです。

森下先生からの回答: CDC(アメリカ疾病予防管理センター)に類するような、国内における感染症の司令塔としての役割を担う組織としてSCARDAが作られました。SCARDAができたことは非常に大きなプラスだと思っています。今まで国内では、感染症に対する司令塔が存在しないため、一体どれぐらいの量を作っていいのか、どういう疾患に対してワクチンを作っていけばいいのか、といった点に関して、国としては方針が決まっていませんでした。
それが、今回SCARDAが設置されたことで、今後具体的に、特に東南アジアと共同で行う臨床試験を積極的に日本としても取り組むということも記載されています。新型コロナウイルスDNAワクチンの臨床試験を海外で行うことは、アンジェスのようなベンチャーにとっては大変でした。海外で試験をやることになると、その国にもワクチンを輸出しなきゃいけないというのが条件になってくるからで、一企業では非常に難しく、今回こういう司令塔ができたことは世界的にワクチンを供給するという点でも非常にプラスになってくるだろうと思います。
SCARDAの実際の活動はこれからとなりますが、日本にとっても大変大きな一歩だと思います。
これから先、日本発のワクチンが世界市場にも出ていかなければいけませんが、SCARDAが出来たことは非常に大きな鍵になると思います。


質問:新型コロナウイルスDNAワクチンの高用量の臨床試験でアクトランザというデバイスを使用していますが、その効果について教えてください。

森下先生からの回答:アクトランザというデバイスは今回初めてヒトでの試験で使うことができました。
もし新型コロナウイルス感染がなかったら、ヒトの試験で使用するのにおそらくあと5年ぐらい時間かかったと思います。
それが1年に短縮されたということで非常に今後のDNAワクチン、コラテジェンの適応拡大をしていくという点でプラス、早急に事業化に向けて動き出したというのは大変大きかったと思います。
効果があるということは、わかっています。詳細なお話はできませんが、手応えは十分かなと思っております。ただ、さらに量を増やすと薬価も上がるので、ビジネス的にはむしろいい面も多く、今後、ビジネス的なことも踏まえて、どの量が最適なのかも検討しながら開発していくということになろうかと思います。
現時点では量を上げるということはプラスになるのではないかと思っております。ただし、補助金を受領している関係もあり、また海外での測定ということもあるため、詳細に関してはコメントを控えさせていただきます。

※ダイセル社の新規投与デバイス「アクトランザTMラボ」とは
火薬を駆動力として針を用いることなく薬液を特定の組織内に送達する技術です。動物モデルを用いた研究によると、従来の針を用いた注射と比較して、送達場所の正確さに加えて遺伝子発現効率を高めることが報告されています。皮膚内には筋肉内に比べ免疫担当細胞が多くいることから、ワクチンの効率を高めることが期待できます。


質問: HGF遺伝子治療用製品の適応拡大で、心臓の冠動脈にも対応できる研究をしているという情報を以前耳にしたことがありますが、現在の状況について教えてください。

森下先生からの回答:こちらに関しては、米国で第I相臨床試験を以前行いまして、安全性に問題がなく、有効性に関しても、しっかり遺伝子が入れば可能であるということがわかっています。
現在は、まずは着実な収益を上げるということで、下肢の領域での適応拡大になりますが、今後より良い技術が見つかれば、心臓に関しても適応の拡大になるでしょうし、それから脳梗塞や認知症でも前臨床では改善効果があり、記憶が回復するということもわかってきています。もし脳に対する新しい遺伝子の導入とかが見つかってくれば、当然適応の拡大領域に入ってくるだろうと思います。
まずは薬として承認されており、既に薬価をいただいており、収益が確実に上がる、脚の領域に特化して、適応症を広げていくことになろうかと思っています。


質問:CIN治療ワクチン開発の進捗状況について教えてください。子宮頸がんワクチンは、我が国の大きな政策の一つであり、上市できれば御社にとって大きな収益と信用をもたらすものと信じております。

山田からの回答:当社では2016年まで、CIN治療ワクチンの開発を東京大学の産婦人科の先生方と進めておりました。
当時実施した臨床試験の結果、子宮頸癌になる以前の患者様にCIN治療ワクチンを投与することによって、症状ががん化することなく、むしろ正常の値に軽減する結果を得た経緯がございました。
現在は、当社が保有する権利(韓国のBioLeaders CorporationよりCIN治療ワクチンに関する日米英中の開発、製造、使用および販売の独占的実施権を取得)を森下仁丹株式会社に独占的に再許諾する契約を締結しております。
その後の進捗は順調に進んでいると伺っていますが、ぜひCIN治療ワクチンについては、成功していただきたいと思っております。


質問:役員のメンバーが高齢なのが気になっておりますが、役員の定年はありますか? (定年があるとすれば)定年は何歳ですか?また、今後役員になるような若い人材は育てていますか?

山田からの回答:役員のメンバーが高齢であることは事実で、以前にも同様のご意見をいただいたことはあります。
ご指摘はしっかりと踏まえた上で、今までいろいろ検討を重ねてきたことも事実でございます。あえて申し上げますと医薬品開発の領域は、シニアの方の価値が非常に高い領域です。医薬品開発の業務は10年がかりですが、初動が非常に大事です。
確かな初動を決めるには経験則が非常に求められるところがあります。
また、私ども役員の履歴をご覧になっていただいた方もいらっしゃるかと思いますが、役員は皆それぞれ医薬品の分野で相応の努力やご経験をされてきた方です。ただ、当然どんどん高齢化していくので、今いただいたご指摘を改めてしっかりと受け止めた上で、検討をしてまいりたいと思っています。
また、若い人の育成も視野に入れて、今検討しているところでございます。

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