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2021.12.06

EmendoBioのゲノム編集技術について【第3回】SNPを標的としたゲノム編集戦略

第3回目は、SNPを標的としたゲノム編集戦略についてご説明いたします。

先回は、EmendoBioが開発中のELANE関連SCNのゲノム編集治療に関する非臨床試験で、健常人の造血幹細胞を用いた試験について紹介しました。健常人の造血幹細胞には病気の原因となる遺伝子変異はないのに、どうしてゲノム編集が可能なのか、今回は、この辺りの事情について、ご説明いたします。

第1回目のお話で、この病気が、両親から受継いだ2つ遺伝子のうちの片方の遺伝子のたった1ヶ所の違い(変異)によって発症すること、また、2つ遺伝子間のたった1ヶ所の違いを区別してゲノム編集することをご説明しましたので、治療では、病気の原因となる変異を標的にするものと考えがちですが、EmendoBioでは、それとは異なる編集戦略を構築しています。

遺伝子疾患はある遺伝子のたった1ヶ所の変異により発症することが多いのですが、その変異が遺伝子のどこにあるかは、患者ごとで様々です。現在EmendoBioで取り組んでいるELANE遺伝子に関しては、200種を超える変異が報告されています。病気の原因となる変異を標的にしようとすると各々の患者の変異に合わせて200種ものガイドRNAを設計することになってしまいますが、EmendoBioでは数種のガイドRNAによって、多くの患者のゲノム編集が可能な編集戦略を構築しました。


ある生物種集団のゲノムDNA配列中に一塩基が変異した多様性が見られ、その変異が集団内で1%以上の頻度で見られる時、これを一塩基多型(SNP : Single Nucleotide Polymorphism)と呼びます。両親から受継いだ2つの遺伝子のDNA配列はほとんど同じですが、ところどころにSNPが存在しています。これらの変異は通常、直接病気の原因となることはありません。つまり、遺伝子には、病気の原因となる変異の他にも違うところがあるということになります。両親から受継いだ2つの遺伝子上のSNPのDNA配列は異なる場合と同じである場合とがあり、各SNPによってその確率は異なります。


EmendoBioではELANE遺伝子上に存在することが知られているSNPの中で、両親から受継いだ2つの遺伝子間でDNA配列が異なる確率がなるべく高いSNPを3ヵ所見つけておけば、80%以上の患者でどれかのSNPは両遺伝子間で配列が異なり、標的にできることを調べ上げました。そこで、患者の遺伝子を詳しく調べ、両親から受継いだ2つの遺伝子間でDNA配列が異なるSNPを見つけ、そのSNPを標的としてゲノム編集を行う戦略を立てました。

このことにより、患者ごとに200種類ものガイドRNAを設計しなくても、数種類のガイドRNAを用意すれば、多く患者に適用することが可能になります。また、非臨床試験において、健常人の造血幹細胞を用いることもできるわけです。

次回は、毒性を獲得した遺伝子を確実に削除するためのゲノム編集戦略についてご説明いたします。

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