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2022.07.05

EmendoBioの発表論文に関する解説

当社子会社のEmendoBioは、米国のMolecular Therapy: Methods&Clinical Development※に掲載される論文(Mutant allele knockout with novel CRISPR nuclease promotes myelopoiesis in ELANE neutropenia)を自社HPに公開いたしました。


私たちの体では、好中球は骨髄中の造血幹細胞から分化して増殖し、血液中に一定数存在することで、細菌感染から体を守る重要な役割を担っています。しかし、ELANE関連重症先天性好中球減少症という疾患では、ELANEという(好中球エラスターゼ)遺伝子の異常により造血幹細胞が好中球に分化できず、好中球数が極端に減少します。発表した論文は、この疾患のゲノム編集による治療法の開発に関する報告です。


EmendoBioで独自に見出した新規のCRISPRヌクレアーゼを使用することにより、ゲノム編集でよく問題視されている「オフターゲット効果」を回避し、安全性の高い治療が期待できる技術です。
この疾患は両親から受継いだ2つの遺伝子の内の片方に異常が起きて有害な機能を獲得し、もう片方の遺伝子が正常であっても発症する疾患です。
この論文は、ワシントン大学のDavid C. Dale博士との共同研究で、実際の患者から採取した造血幹細胞を用いてゲノム編集を行ったものです。正常な遺伝子には傷をつけず、ほとんど同じ配列を持つ異常な遺伝子のみを正確に区別して削除し、その結果、造血幹細胞が好中球に分化できるようになったことを培養容器中で確認したものです。


詳しい内容は、当社広報ブログの「EmendoBioのゲノム編集技術について」【第1回】から【第5回】にも掲載(2021年11月~12月)しておりますので、ご興味のある方はご覧ください。


※Molecular Therapy: Methods&Clinical Developmentについて

世界最大の遺伝子治療及び細胞治療の研究者の団体であるASGCT(アメリカ遺伝子細胞治療学会)の公式ジャーナル。細胞治療や遺伝子治療の進歩や、それらがどのように臨床に応用されているかに焦点を当てた論文査読のある学術専門誌です。


【第1回】ELANE関連重症先天性好中球減少症のゲノム編集治療

【第2回】ELANE関連SCNのゲノム編集治療開発における非臨床試験成績

【第3回】SNPを標的としたゲノム編集戦略

【第4回】有害機能を獲得した遺伝子を確実に削除するためのゲノム編集戦略

【第5回】新規ゲノム編集ツールの探索技術:OMNI プラットフォーム

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