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2019.12.19

12月15日(日)会社説明会レポート【後編(1)】~HGFの米国市場とビジネスの予想~

2019年12月15日(日)、アンジェス株式会社の会社説明会を行い、約400名の株主さまにご来場いただきました。

本ブログでは、会社説明会レポート【後編(1)】と題して、会社説明会の質疑応答をレポート形式で紹介します。


[株主様からの質問]

まず最初に、苦節20年、日本初の遺伝子治療薬であり、慢性動脈閉塞症の分野では世界初の遺伝子治療薬の開発に成功し、販売にこぎ着けた創業者の森下先生並びに山田社長両氏の長年のご苦労に対して改めて敬意を表します。

ところでこの快挙にも関わらず、市場の評価は非常に低く、株価は低迷しています。

原因は、薬価が当初大方の株主や市場が予測していた約200万円を大きく下回る60万円となり、10年後最大売上12億、対象患者992人と、厚生労働省が発表したことにあります。

しかし、その後アンジェスは、日本の数倍の市場(規模)である米国での治験再開を発表しました。それにも関わらず市場の反応は悪く、相変わらずの株価低迷です。

私は、現在のこの株価は全く不当な評価だと思っております。その原因はひとえに我々株主の勉強不足と誤解によるものであり、併せて会社側の情報開示不足と失礼ながら広報の稚拙さによるものと考えます。

会社側の情報開示不足と具体的な数字が無いため、せっかくのIRや広報も効果が無く、かえってガッカリ感で株価を下げているように考えています。

したがって、ここからが質問です。

アメリカの市場規模と米国でのアンジェスの売上獲得目標は大体いくら位になるのでしょうか?

私は現在アンジェスが公表しているデータから、私自身が試算してみました。

市場規模は、投与患者数×薬価で決まります。

まずその患者数ですが、山田社長が9月26日のBSテレビ東京の生出演で、HGFの潜在患者数は日本国内が40万人、米国は専門調査会社より100万人と発表されています。

一方で、11月22日のIRでは、今回の治験はグローバル治験方針のステージ4段階のステージI~IIの下肢切断リスクの少ない対象患者とし、該当する患者は全体の約60%と専門家は指摘、と発表しています。

全体の60%というのは、具体的な数字が出ておりせんが、私は9月26日の山田社長発言の潜在患者数100万人、これが全体だと推定しますので、今回の治験は100万人×60%=60万人がHGFの投与可能対象患者数と読み取れます。

次に「患者数×薬価」の薬価の方ですが、日本では中医協薬価専門部会で協議されて、いわゆる厚生労働省・国家が薬価を決定しています。先ほど山田社長が解説されましたが、アメリカは違います。米国はFDAや国が一方的に薬価を決定するのではなく、開発企業が民間保険会社と連携しながら、企画性・有効性・安全性・マーケットシェアを考慮して開発企業自らが自由裁量で薬価を決定する、つまり薬価はアンジェスが自由に決定できるということです。

したがって、今回のアメリカの治験の薬価は、アンジェスが、日本よりもステージの低い患者なので、仮に薬価を50万円とアンジェスが決めたとします。すると2回投与で100万円と仮定しますと、HGFの対象市場規模は、最大先ほどの60万人×100万円ですから、6000億円となります。

森下先生があるTVのインタビューで、現状この分野では競合会社は見当たらず、アンジェスが先頭を走っていると応えられています。

としますと、この6000億円ですけども、したがって全対象患者60万人のうち少なく見積もって仮に3人に1人の患者が投与したとしますと、20万人ですから、6000億の3分の1の2,000億円です。

ただし、これは田辺三菱の売上となります。アンジェスの獲得金額はいくらかというと、

ロイヤリティが30%、これは今までの内容から類推しますと、2000億円の30%=600億円。

アンジェスの獲得金額は600億円と推定されます。仮に日本と同じ薬価が60万円と決まったとしますと、2回投与で120万円、したがって720億円。

仮に日本より安く40万円と決まったとしますと、2回投与で80万円ですから、480億円。

ということは、アンジェスの獲得金額は、したがって480億円~720億円より、500億円~600億円は堅い数字ではないかと推定するわけですが、以上、私が仮定した数字の計算ですけども、いずれも会社のIRや山田社長・森下先生のTV発言を根拠に仮に計算しています。

数字は仮定ですけども、先ほどのアンジェスが自由に薬価を決められるというアメリカの制度とこの計算の構図に基本的な誤りがあるかどうかをお答えいただきたいです。

そのうえで、米国の市場規模とアンジェスの獲得可能金額を教えていただければありがたいのですが、もしこの計算方式が正しくて、もしこれに近い金額であれば、アンジェスがかつて2025年の売上目標500億円を目指すとした長期経営計画がありました。

これは取り下げましたが、これはハッキリ言って達成可能です。

以上から、アメリカの治験再開はアンジェスの2年後以降、すなわち2021年以降に500億円前後の売上を見込める可能性がある、と考えます。

ここまでが質問ですが、最後にお願いがあります。

実は本日の株主説明会のやり取りをぜひ2~3日中に、先程広報の充実と仰っていましたので、会社広報として、ぜひ出来るだけ早くホームページに発表していただきたい。

本日の出席者はせいぜい200~300人です。出席できない全国の個人株主は推定10万人以上です。

会社の現況を善意で応援している個人株主に対して、正確で誠実な広報で答えていただきたい。その際、絶対に具体的な数字での説明をお願い致します。

今回かなり広報の改革をされるということになっていますけれども、今までの広報は専門的過ぎたり、具体的な数字が無いため、誤解を招いたり、かえってマイナスの効果しか生んでいません。

以上、宜しくお願い致します。


[山田社長からの回答]

ご質問ありがとうございます。山田の方からお答え申し上げます。

ご質問ありがとうございました。

株主様がいかに普段から私共の業態を研究し、またいろんな角度で叱咤激励をいただいているということを今改めて認識しています。

特に市場の評価が不当ではないか、と冒頭にまずお話をいただきましたが、

社長の私が申し上げるのもなんですが、私もそう思っています。

これだけの成果をあげながら、株価がこういう形で低迷しているのは株主の皆様方に大変申し訳ない思いでございます。

とにかく今は手を打つべきであると考え、その一環として、ご指摘ありましたように、広報IRの強化を宣言させていただきました。

私共としましては、まずは承認という結果がないと中々(アンジェスを)一人前(の会社)として見てもらえませんでしたが、アメリカやヨーロッパを渡り歩いていると、我々のHGF承認が非常に高く評価されており、これだけの成果を皆さまのご指導をいただきながらやってきたことに対して、もっと胸を張っていいんじゃないかという心境に至ってございます。

さて、大事な数字の話をご指摘いただきましたが、私が9月末のBS日経で日本の患者数そして米国の潰瘍を有する患者の数を株主様が言われたように表現してございます。

問題はそのうちどれ位の患者様をHGFで獲得できるかということだと思います。

従前は対象疾患をCLI(重症下肢虚血)に限っていましたので、CLIの相場感、米国のその当時の薬価2万ドル~3万ドルと想定していました。これはアメリカの調査機関であるIMSが時間をかけて調査したものです。

また、ヨーロッパも、ヨーロッパの調査機関を通じて調査した結果でもありました。

さらに、当時競合とみなしていたフランスの世界第4位の会社である「サノフィー」も2万ドル~3万ドルという薬価を提唱していました。そういった観点から約5000億円~6000億円の市場規模を算定していました。

しかし、新しいグローバルガイドラインにより、対象疾患をCLIからCLTI(包括的高度慢性下肢虚血)にしたことで、患者数の範囲をかなり広げて考える必要が出てきました。それに加えて、症状が重症だけではなく、重度に近い少々穏やかな症状の患者までを対象にすることになるため、薬価はもう少し低くなるかもしれないという状況にございます。

ここはアメリカの場合、保険会社と私共が決めることではありますが、治験を終えるまでは今は何とも申し上げられません。私共が目指す将来の姿は、アメリカの患者に投与して、しっかりと株主の皆様にお応えしていくことに尽きるかと思います。

今、株主さまがお出しした市場規模の数字は、基本的には間違っているとは思いませんし、こうありたいなというのが私どもの考えでございます。

やはり今回上市をして、この立場になって初めて売ることの大変さを痛感しています。実際には、田辺三菱製薬様に販売していただいており、私共がセールスフォースを持つことはありませんので、正直に言って無力なところがございますが、願わくば1人でも多くの患者さんに投与していただきたいと思っています。

やはりセールスフォースを持たないアンジェスは、正直に言って無力なところがございます。従いまして、販売の部分は田辺三菱製薬様にお任せするにしても、戦略的なところ例えばアメリカのデータや適応拡大など含めて、HGFの価値を向上させていきたいと思っております。

ぜひこちらご理解いただくと同時に、今まで以上にご支援いただきたいと切にお願いする次第でございます。

株主様のいくつかのご要望がございましたが、私どもなりに解釈して、少なくとも満足いただけるような形で対応してまいりたいと思います。

ご質問本当にありがとうございます。感謝申し上げます。


後日、会社説明レポート【後編(2)】をアップいたします。

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