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2023.08.14

ACRL担当者へのインタビューブログ【中編】

広報がアンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(以下、ACRL)担当者に、希少遺伝性疾患の検査や早期発見の重要性等について、インタビューをした内容を紹介する中編です。(前編は、コチラ

今回は、ACRLが現在実施している拡大新生児スクリーニングの対象疾患の「ムコ多糖症」や「副腎白質ジストロフィー(ALD)」を事例としたお話を紹介いたします。


■アンジェスならではの対象検査項目「ムコ多糖症」

アンジェスでは以前(2008年から2019年)、ムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」の販売を行っていました。 https://www.anges.co.jp/faq/_pdf/story_of_naglazyme.pdf


ACRLの拡大新生児スクリーニング検査の対象項目の一つでもある「ムコ多糖症」は、 生まれつき、体の中でムコ多糖という成分を分解する酵素の働きが弱い(あるいはない)ために、ムコ多糖が体に溜まってしまうことで発症します。
ムコ多糖症は足りない酵素と体に溜まるムコ多糖の種類の違いから、7つの型に分類されます。ムコ多糖症の新生児スクリーニングを実施している検査機関のほとんどは、このうち国内でも患者数の多いムコ多糖症I型、II型を対象に検査をしています。
一方で、ACRLではムコ多糖症のうち国内で治療薬があり、早期発見・早期治療が重症化予防に重要なムコ多糖症I型、II型、IVA型、VI型の4つのタイプを対象に検査を実施しています。ムコ多糖症IVA型、VI型は国内の患者数は非常に少ないですが、アンジェスがムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」の販売でも関わっていたように、希少疾患に対して積極的に取り組んでいきたいと考えています。
また拡大新生児スクリーニング検査は、生後間もない無症状の赤ちゃんを対象に検査をするので、病気ではない赤ちゃんも一定数は精密検査が必要になります。ムコ多糖症の場合は、赤ちゃんの尿の中の蓄積物を検査する方法があり、この検査のために50mLの尿が必要になります。小児科の先生方のお話で度々耳にするのが、新生児から尿を採取するというのは非常に大変で、50mlの尿が採取できずに検査を受けることもできないケースもあり、医療従事者にとっても、赤ちゃんにとっても負担が大きいんですね。
そこで、ACRLでは拡大新生児スクリーニング検査でも利用される、ろ紙血液に含まれる蓄積物の量を検査する方法を開発しました。現在は埼玉医科大学ゲノム医療科寄付講座との共同研究としてデータを集めているところですが、将来的には赤ちゃんの大量の尿を必要とせずにムコ多糖症かどうかをさらに詳しくふるい分けすることが出来る可能性があります。
従来は、検査方法がない、あるいは検査するのに大きな負担がかかるという課題がありましたが、その課題を改善するためにも、ACRLでは速やかな検査体制を整えることを意識しています。


■グローバルな基準で考えるALDの優先度

副腎白質ジストロフィー(ALD)をご存じでしょうか?
ALDとは、元気に生まれ育った子が突然、学力の低下や視力・言語・歩行に障害を発症し、進行の早い場合は1年以内に死亡することもある難病です。
学習障害や精神的な疾患と誤認されることもある等、特徴的な症状が少ないため、一般の診療では見つけることが難しいと言われています。
進行すると急速に重篤化してしまうことが多いですが、発症後早期に、造血幹細胞移植(骨髄移植)を行うことで、症状の進行を抑えることができるため、早期発見・治療が重要となります。
日本国内では、拡大新生児スクリーニングの検査対象としている衛生検査所が少ないという現状があります。一方、医療先進国である米国では、新生児スクリーニングを推奨する対象疾患がRecommended Uniform Screening Panel (RUSP)として選定されていて、この中でALDも新生児スクリーニングで検査するべき疾患として挙げられています。2023年現在、全50州でALDの検査を実施又は準備しており、海外では検査の優先度が高いと言われています。
ACRLでは、測定に必要な装置が高額ではありますが、開設当初から、 設備・装置に先行投資してALDも新生児スクリーニングで測定できるようにしました。


中編は、ここまでとなります。
明日火曜日に、後編をアップいたします。


前編の記事についてはこちらをご覧ください。
https://www.anges.co.jp/blog/detail.php?p=100597


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