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2016.05.31

特許の話

更新が長らく滞っておりましたが、今回は「特許」について少し取り上げてみたいと思います。お薬のもととなる物質を発明すると、特許として特許庁に出願をします。 特許の出願を行うと、出願日から通常18ヶ月で「出願公開」(公開特許公報の発行)となり、自動的にその内容が公開されます。(たとえば、最近当社の高血圧DNAワクチンに関する国際出願がWIPOで公開されていますが、これがまさしく出願公開です。WIPOとはWorld Intellectual Property Organizationの略で、外国で特許を取るために統一された国際出願を受けつける国際機関です。この後、それぞれの国の特許庁へ提出して、それぞれの国の特許を取ることになります。)特許として成立させるためには、特許庁による審査が必要になります。特許庁は、出願人から「審査請求」が行われた出願のみ審査しますが、審査請求は、出願日から3年以内に行われなければなりません。審査請求をしないと、取り下げられたものとみなされます。特許庁による審査の上、問題がなければ特許の登録となります。下図は日本での出願~特許登録の簡略図です。当然のことながら、特許を取得しただけでは医薬品を販売することはできません。 医薬品は、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律)により、前臨床試験での検証、臨床試験での安全性と有効性の確認という長い開発期間を経て製造販売承認申請を行い、薬として承認を得ることで初めて患者様のもとへ届けられることになります。ちなみに、医薬品に関連する特許には「物質特許」、「用途特許」、「製剤特許」などがあります。・「物質特許」は新規の物質そのものに対する特許。用途や製法等に限定されることなく、この物質を含有する製剤にも効力が及びます。・「用途特許」は物質の新しい用途(たとえば特定の疾患への使用)についての特許。・「製剤特許」は製剤の工夫に与えられる特許。製剤には注射剤、軟膏剤・・・といった様々な製剤があります。つまり、1つの薬について複数の特許で多面的に保護することが可能なのです。なお、特許が切れても新薬の再審査期間中は他社が後続品(ジェネリック医薬品、バイオシミラー)を販売することは通常できません。特許の有無に関わらず、新薬の承認後にはデータ保護期間が定められており、その間は実質的に後続品の承認申請は行われません。これについてはまた別の機会で取り上げたいと思います。以上、一般的なお話ですがご参考になれば幸いです。

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2015.08.11

遺伝子治療の潮流

8月9日の日経新聞に「帰ってきた遺伝子治療」という記事がありましたが最近の報道にもあるように遺伝子治療は再び脚光を浴びています。2012年に先進国初の遺伝⼦治療薬(uniQure社Glybera-LPL⽋損症)が欧州で承認され、大手製薬会社であるBristol-Myers SquibbがこのUniQure社と今年大型契約を締結―その他大手も相次いで遺伝子治療に参入するなど、遺伝子治療の実用化時代が到来し世界的に注目が高まっていると言えます。さらに国内では、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する「条件及び期限付承認制度」が開始され、世界に先駆けていち早く遺伝子治療薬が実用化できることになりました。このように遺伝子治療をとりまく環境は年々大きく変わっています。日本は遅れをとっていたところがありますが、これからの進展に期待大です。さて、今回は2015年7月24日(木)~26日(日)に大阪にて開催された日本遺伝子治療学会について、少しだけご紹介します。正式には「第21回日本遺伝子治療学会学術集会」です。※日本遺伝子治療学会は「日本遺伝子細胞治療学会」に名称変更することが今回の学会で決まりました。遺伝子治療薬の開発を行うアンジェスMGにとっては、とくに重要な学会であることは言うまでもありません。学会では国内外から多くの臨床ステージにある遺伝子治療の開発状況が報告されていました。最新の動向だけではなく、規制の面からも議論が行われ、「条件及び期限付承認制度」に関しては、「世界が注目しており、日本が遺伝子治療の戦場になるのでは」という意見もありました。また、今回の学会で議論されたテーマに「ゲノム編集」がありました。これは、今年の4月に中国の研究チームからヒト受精卵のゲノム編集を行ったとする論文発表があったことをうけ、世界的に議論されていたものです。ヒト受精卵のゲノム編集は現時点では技術的にも倫理的にも課題があり、その後の世代まで影響がある可能性があることから、日本遺伝子治療学会は米国遺伝子細胞治療学会と共同で、課題が解決されるまで禁止されるべきであるとする、日米共同声明 “ASGCT and JSGT Joint Position Statement on Human Genomic Editing”を発表しました。アンジェスMGは遺伝子治療学会において「アンジェス賞」の授与を毎年行っています。この賞は遺伝子治療全体の発展を目的として平成 22 年に創設され、遺伝子治療研究の発展に大きな貢献をされた研究者に授与されるものです。今回の受賞者は、アンジェスMGの お知らせ をご参照ください。  写真は受賞式の様子(左)、賞状と記念品(右)さらにアンジェスMGは “Clinical Advances in DNA Vaccines”と“The Current Status and Prospects for Gene Therapy” というテーマの2つのセミナーの共催も行いました。いずれも盛会となり、参加した先生方の関心の高さがうかがえました。どちらもアンジェスMGにとっても重要なテーマです。これからの遺伝子治療の発展に期待していきたいと思います。

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2015.05.28

高血圧DNAワクチンの報道

アンジェスMGが大阪大学と共同研究している高血圧DNAワクチンについて、大阪大学の研究グループの研究成果が米学術誌Hypertension電子版に掲載されました。アンジェスMG プレスリリース「大阪大学の研究グループによる高血圧DNA ワクチンの研究成果が米医学専門紙に掲載」もご参照ください。この阪大研究グループの研究成果が、NHK、日経新聞、読売新聞、毎日新聞、産経新聞など複数のメディアで報道されています記事を読んで「高血圧DNAワクチンって何?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。高血圧DNAワクチンは、血圧を上昇させる働きをもつアンジオテンシンII(AngII)を標的とした治療ワクチンです。高血圧DNAワクチンの投与により、⇒ ヒトの体でワクチンに含まれるAngIIが異物として認識され、AngIIに対する抗体が産生される、⇒ この抗AngII抗体が血液中のAngIIにくっついてAngIIを抑制する、⇒ これによって降圧作用が発揮される、ことが期待されています。阪大研究グループの研究では、高血圧モデル動物で少なくとも6ヶ月間降圧作用が持続することが報告されました。高血圧DNAワクチンは高血圧治療薬として、また心臓の負担を軽減すると考えられることから心不全の治療薬として期待されます。

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2015.05.07

5月5日付の日経新聞でCIN治療ワクチンが取り上げられました

アンジェスMGの開発プロジェクト「CIN治療ワクチン」に関する記事が5月5日付の日経新聞で取り上げられました。CIN治療ワクチンは現在、東京大学医学部附属病院で、川名敬准教授のもと探索的臨床研究が実施されています。※「HPV16型陽性の子宮頸部中等度上皮内腫瘍性病変(CIN2)に対する乳酸菌を利用したCIN治療薬の探索的臨床研究」(プラセボ対照二重盲検比較試験)。この試験の経費には、厚生労働省科学研究費(医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)補助金が使用されています。記事の中にあった10名のうち8名は手術せずに済み…というのは、過去に同じく東京大学医学部附属病院で実施された試験の結果で、2014年9月に発表されたものです。(2014 年9月25 日 アンジェスMGプレスリリース「子宮頸部前がん病変治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の研究者主導臨床試験結果が判明 ~国際医学専門誌に掲載~」ご参照)この試験はステップ1とステップ2の2段階に分けて実施されたもので、ステップ1では、子宮頸部前がん病変(CIN3)を有し子宮頸部円錐切除術を必要とする10例の患者を対象として至適服用量の検討が行われました(1日何カプセルが最適かの検討)。ステップ2では、決定した至適用量において7例の患者で有効性と安全性が検討されました。このステップ1と2の至適用量を服用した被験者の合計が10例です。ステップ1・ステップ2試験では投与した全例(17例)で薬剤に由来する有害事象の発生は認められず、また至適用量を服用した被験者(10例)の70%で投与開始後9週目の時点で前がん病変の明らかな退縮が確認されました。(上記の論文より。〔Kawana, K., et al., Vaccine, Volume 32, Issue 47, 29 October 2014, Pages 6233–6239〕)。CINはCervical Intraepithelial Neoplasiaの略で、「子宮頸部前がん病変」のことです。CIN治療ワクチンは乳酸菌(L.casei)をベースとした経口投与の治療薬であり、子宮頸部前がん状態の組織を退縮させ、子宮頸がんへの移行や円錐切除手術を回避することが期待されています。子宮頸部前がん病変とくに子宮頸部円錐切除術等の外科的手術を必要とするステージの年代の発生ピークは出産のピークに相当しますが、手術は早産等のリスクが高まることから、CIN治療ワクチンは手術を回避できる治療用ワクチンとして期待が高まっています。

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2015.03.06

遺伝子治療の認知向上を目指してプレスセミナーを実施

アンジェスMGは遺伝子治療の正しい理解と認知向上を目的とした活動の一環としてメディア向けのプレスセミナーを2月26日に実施しました。当日は国内の遺伝子治療の第一人者である東京大学医科学研究所病院長の小澤敬也先生が「遺伝子治療の最新動向ーいよいよ実用化が目前にー」と題して遺伝子治療の基礎知識や現状についてご説明されました。このプレスセミナーに関する記事が「Qlife Pro 医療ニュース」にて本日掲載されました「新たな局面を迎えた遺伝子治療、アンジェスMGがプレスセミナーを開催」http://www.qlifepro.com/news/20150306/gene-therapy-which-celebrated-its-new-aspects.html※Qlife Proは医療従事者向けに専門的な情報を提供するサイトです

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