PR BLOG広報ブログ
5月5日付の日経新聞でCIN治療ワクチンが取り上げられました
アンジェスMGの開発プロジェクト「CIN治療ワクチン」に関する記事が5月5日付の日経新聞で取り上げられました。CIN治療ワクチンは現在、東京大学医学部附属病院で、川名敬准教授のもと探索的臨床研究が実施されています。※「HPV16型陽性の子宮頸部中等度上皮内腫瘍性病変(CIN2)に対する乳酸菌を利用したCIN治療薬の探索的臨床研究」(プラセボ対照二重盲検比較試験)。この試験の経費には、厚生労働省科学研究費(医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)補助金が使用されています。記事の中にあった10名のうち8名は手術せずに済み…というのは、過去に同じく東京大学医学部附属病院で実施された試験の結果で、2014年9月に発表されたものです。(2014 年9月25 日 アンジェスMGプレスリリース「子宮頸部前がん病変治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の研究者主導臨床試験結果が判明 ~国際医学専門誌に掲載~」ご参照)この試験はステップ1とステップ2の2段階に分けて実施されたもので、ステップ1では、子宮頸部前がん病変(CIN3)を有し子宮頸部円錐切除術を必要とする10例の患者を対象として至適服用量の検討が行われました(1日何カプセルが最適かの検討)。ステップ2では、決定した至適用量において7例の患者で有効性と安全性が検討されました。このステップ1と2の至適用量を服用した被験者の合計が10例です。ステップ1・ステップ2試験では投与した全例(17例)で薬剤に由来する有害事象の発生は認められず、また至適用量を服用した被験者(10例)の70%で投与開始後9週目の時点で前がん病変の明らかな退縮が確認されました。(上記の論文より。〔Kawana, K., et al., Vaccine, Volume 32, Issue 47, 29 October 2014, Pages 6233–6239〕)。CINはCervical Intraepithelial Neoplasiaの略で、「子宮頸部前がん病変」のことです。CIN治療ワクチンは乳酸菌(L.casei)をベースとした経口投与の治療薬であり、子宮頸部前がん状態の組織を退縮させ、子宮頸がんへの移行や円錐切除手術を回避することが期待されています。子宮頸部前がん病変とくに子宮頸部円錐切除術等の外科的手術を必要とするステージの年代の発生ピークは出産のピークに相当しますが、手術は早産等のリスクが高まることから、CIN治療ワクチンは手術を回避できる治療用ワクチンとして期待が高まっています。
READ MORE遺伝子治療の認知向上を目指してプレスセミナーを実施
アンジェスMGは遺伝子治療の正しい理解と認知向上を目的とした活動の一環としてメディア向けのプレスセミナーを2月26日に実施しました。当日は国内の遺伝子治療の第一人者である東京大学医科学研究所病院長の小澤敬也先生が「遺伝子治療の最新動向ーいよいよ実用化が目前にー」と題して遺伝子治療の基礎知識や現状についてご説明されました。このプレスセミナーに関する記事が「Qlife Pro 医療ニュース」にて本日掲載されました「新たな局面を迎えた遺伝子治療、アンジェスMGがプレスセミナーを開催」http://www.qlifepro.com/news/20150306/gene-therapy-which-celebrated-its-new-aspects.html※Qlife Proは医療従事者向けに専門的な情報を提供するサイトです
READ MORE2月14日 札幌で開催の個人投資家セミナーに参加します
2月14日に札幌で開催される「第4回投資知識研究所特別セミナー」にアンジェスMGが参加いたします。主催は特定非営利活動法人日本IFA協会です。(協力:札幌証券取引所、上光証券株式会社)・場所:札幌証券取引所会議室 (札幌証券取引所2階)・開催時間:13:00〜ご興味のある方は札幌証券取引所HPまたは、アンジェスMGのHPにて詳細をご覧ください。
READ MOREエボラ出血熱抗血清製剤について (2)DNAワクチン技術を使用する意義
アンジェスMGが開発をすることになったエボラ出血熱抗血清製剤は、エボラ出血熱ウイルスのタンパク質をコードするDNAワクチンをウマに接種し、抗体をつくらせて製造します。「(1)抗血清製剤とは?」 で書いた通り、抗血清製剤は、ウマに病原体や毒素等の抗原を注射し、血液中に抗体をつくらせてから、血清を採取し精製して製造します。この「病原体や毒素等の抗原」にあたるのが、「エボラ出血熱ウイルスのタンパク質」であり、DNAワクチンはこれをコードしています。抗体はウイルス表面にあるタンパク質(目印となる抗原)を狙って結合しますが、エボラウイルスの場合は表面糖タンパク質(グリコプロテイン、GP)がターゲットになります。では何故、エボラ出血熱を対象とした抗血清製剤にDNAワクチンの活用が適していると考えられるのか、についてです。キーワードは「安全性」と「製造期間が短いこと」です。・安全性弱毒化ワクチンとは異なり、病原性をまったくもたないため安全です。ウイルス自体の取り扱いがありません。この特徴はエボラのような致死性の高い病原体に対する薬を日本国内で製造する上で重要だと考えられます。エボラウイルス自体を国内に持ち込むことは大変難しいと思います。・製造期間製造工程が比較的単純なので製造期間が短くて済みます。DNAワクチンは、DNAプラスミド法を使用して作ります。プラスミドとは、大腸菌などの細菌等に存在する環状のDNAです。(大腸菌というとO157などのイメージが強い方もいるかもしれませんが、人の腸内に存在する大事な細菌で、多くのものは無害です)プラスミド法自体は確立された方法で、大腸菌を使って簡単に短期間で大量に目的のプラスミドを作ることができます。プラスミドに遺伝子を挿入し、大腸菌に導入して培養して増やせばプラスミドも一緒に増えます。最後にプラスミドを精製すれば、大量に目的のプラスミドを得ることができます。大腸菌の分裂は非常に早いため、培養に数日、精製も数日の短い期間でプラスミドの製造ができます。DNAプラスミドと聞いて、ピンときた方もいると思います。アンジェスMGのHGF遺伝子治療薬も、DNAプラスミド製剤です。HGF遺伝子治療薬の場合は、血管新生作用のあるHGF(肝細胞増殖因子)タンパク質をコードしたプラスミド製剤です。HGF遺伝子治療薬のように注射によって治療を目的としてタンパク質を発現させたり、エボラ出血熱DNAワクチンのように抗原となるタンパク質を発現させることで抗体を体内(ウマの体内)で作らせることを目的としたり、プラスミドの活用方法は様々です。 エボラウイルスのDNAワクチンでは、データベースに登録されている最新のエボラウイルスのゲノム配列情報を基に、ウイルス表面のGPを発現するように、その配列情報通りのDNAを機械で人工合成してプラスミドを作り、大腸菌に導入してその大腸菌を増やし、精製してプラスミドを精製すれば、GPに特異的な抗体の生産を促す(言い換えればGPに対する免疫をつける)DNAワクチンの有効成分になります。アンジェスMGが今回提携した米国のバイカル社は、予防ワクチンとしてのエボラ出血熱DNAワクチンを開発しており、ヒトでの第1相臨床試験を米国NIHと共に実施して、すでに安全性などのデータを得ているなど、競合他社よりも一歩進んだ開発フェーズにあるといえます。エボラ出血熱DNAワクチンはヒトに接種をすれば予防ワクチン、ウマに接種して血清を精製すれば抗血清製剤(治療薬)として開発が可能です。アンジェスMGはバイカル社から同社のエボラ出血熱DNAワクチンを活用して抗血清製剤を日本国内で独占的に開発し製造販売する権利を取得しました。今年の第1四半期に予備的な試験に着手します。 今回の西アフリカのエボラウイルスの流行が収束しても、ヒトとエボラウイルスの長い戦いの歴史は続くと思います。ですから、日本国内でも感染者が発生した場合等の対策として、治療薬を開発することは重要だと考えられます。広報担当者としても期待したいと思います。(過去に報告されたエボラウイルス感染 ご参考 :US CDC, Known Cases and Outbreaks of Ebola Virus Disease, in Reverse Chronological Orderhttp://www.cdc.gov/vhf/ebola/outbreaks/history/chronology.html )長文となりましたが、広報担当者の独り言にお付き合いいただきまして有難うございました。また機会をみつけて別のプロジェクトも取り上げてみたいと思います。
READ MOREエボラ出血熱抗血清製剤について (1)抗血清製剤とは?
今回は1月14日にアンジェスMGが発表した「DNAワクチン技術を用いたエボラ出血熱抗血清製剤」について取り上げてみたいと思います。(ご参照:2015年1月14日 アンジェスMGプレスリリース 「DNA ワクチン技術を用いたエボラ出血熱抗血清製剤の開発を開始」)エボラ出血熱には、予防ワクチンや治療薬が開発されていますが、現在、エボラ出血熱を適応症としたワクチン・治療薬で承認されているものはありません。患者の治療には試験的に開発中の治療薬や、すでにウイルスに感染し回復した患者の血液や血清が試されている状況です。まずは抗血清製剤とは何か、について書いてみようと思います。「血清」とは、血液から血球を分離した上澄みの液体成分のことです。血清には免疫の主役である抗体が含まれています。「抗体」とは免疫グロブリンという名前のタンパク質です。通常の免疫システムのお話になるので、ご存知の方は多いと思いますが異物が体内に入ると、体内では、その異物に特異的にくっつく抗体がつくられます。抗体がくっつくと、免疫細胞はそれを異物だと認識するようになり、その異物を排除するように働きます。ウイルスは、体内に入るとまず細胞に吸着し、細胞膜に穴を開けて細胞内へと侵入し、増殖してゆきます。ウイルスの表面には細胞に吸着するための吸盤のような機能を持つタンパク質があるのですが、そのタンパク質を認識する抗体があらかじめ体内にあれば、抗体がそのタンパク質に先にくっついてその機能を邪魔することで、ウイルスが細胞内に入り込めないようにすることができます。予防ワクチンと抗血清製剤について簡単にまとめると、もちろん予防を目的としているか治療を目的としているかが違いますが、どちらも免疫に関係していることは言うまでもありません。予防ワクチンは、病原体あるいは毒素の毒性を弱めたり失わせたりしたもの(抗原)を、投与して免疫をつけるというもので、インフルエンザ予防ワクチン等が代表例です。しかし、体内で新しく抗体を生産できるようになるには数週間かかってしまいます。ですからインフルエンザ予防ワクチンは秋頃に接種して、シーズン到来に備えるのですね。抗血清製剤は、特定の病原体や毒素に対する抗体を高濃度に含む血清を、その免疫のない人に接種することで、免疫が元々あったような効果をあたえます。ですから予防ワクチンと違って、即座に効果を発揮するので、異物が体内に侵入してしまった時に治療薬として使うことができます。抗血清製剤は、ウマに病原体や毒素等を注射し、血液中に抗体をつくらせてから、血清を採取し精製して製造します。抗血清製剤には、毒ヘビにかまれたときや、ボツリヌス菌食中毒がおきたときの治療薬として使われてきた長い歴史があります。次回はDNAワクチン技術について書いてみたいと思います。
READ MORE