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2021.11.22

EmendoBioのゲノム編集技術について【第1回】ELANE関連重症先天性好中球減少症のゲノム編集治療

第1回目は、ELANE関連重症先天性好中球減少症のゲノム編集治療について、ご紹介します。EmendoBioが臨床入りを目指している治療の対象疾患は「ELANE関連重症先天性好中球減少症(ELANE関連SCN)」といいます。 ELANEは好中球エラスターゼ遺伝子の呼び名です。好中球は、通常は体の中で造血幹細胞から絶えず分化・成熟してまいります。しかし、ELANE遺伝子に異常があると、好中球に分化しようとする細胞でこの遺伝子が働き始めた時に、異常なタンパク質が作られることによって好中球が成熟できなくなり、その結果、好中球数が減少します。 好中球は細菌感染に対して体を守るという大切な役割を担っています。好中球が少なくなると、感染制御ができず、感染を繰り返したり、感染症で死亡することもあります。 このような、遺伝子の異常により有害な働きを獲得したタンパク質ができることによって発症する疾患では、例えば、ウイルスベクターなどによって正常な遺伝子を導入するような遺伝子治療を行っても、治すことができません。異常な遺伝子を削除して有害なタンパク質ができないようにする必要があります。幸い、私たちの体の細胞には、父親から受継いだ遺伝子と母親から受継いだ遺伝子がありますので、異常な遺伝子を削除すれば、もう片方の遺伝子の働きによって、正常に好中球が分化・成熟することが期待できます。 私たちは父親から受継いだ遺伝子と母親から受継いだ遺伝子の2つの遺伝子をもっており、そのDNA配列は通常ほとんど同じですが、片方の遺伝子のたった1ヶ所だけが異なることによって遺伝病の原因となることがあります。 ELANE関連SCNの治療では異常のある遺伝子を削除することが必要なのですが、この時、正常な遺伝子を傷つけないようにしなければなりません。このためには、両親から受継いだ2つの遺伝子間のたった1ヶ所の違いを識別し、正常な遺伝子を傷つけずに異常な遺伝子のみを編集できる精度が必要で、偶然似たDNA配列を持つ関係のない遺伝子を編集してしまうリスク(オフターゲット効果)がないというだけでは不十分です。 このような高精度なゲノム編集技術は、あらゆるゲノム編集治療を安全に行うために必須な技術であり、EmendoBioでは、このような高精度なゲノム編集技術を開発し、あらゆるゲノム編集治療に用いることを目指しており、手始めに、ELANE関連SCNの治療に関して臨床試験に向けた開発を進めています。 次回は、今回ご説明したELANE関連SCNの治療の開発の過程で得られたヒト造血幹細胞を用いた非臨床試験の成績について説明する予定です。

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2021.11.17

EmendoBioのゲノム編集技術について【予告編】

オフターゲット効果を排除した新規ゲノム編集ツールの医療への応用 弊社では、昨年末、ゲノム編集治療の開発会社であるEmendoBioを買収し傘下に入れました。ご存じのように、ゲノム編集はゲノム中の狙った部分を改変する技術ですが、「オフターゲット効果」が問題となっています。これは、狙いをつけた標的DNA配列の識別が完璧ではなく、偶然似たDNA配列を持つ、狙っていない遺伝子を誤って改変してしまう作用です。 最近、ゲノム編集技術を用いて作られた農作物や養殖魚が市場に出回ることが話題になっています。このような作物等の育種では、オフターゲット効果があったとしても、ゲノム編集で得られた品種の中から狙った部分のみが改変されたものを選別して利用することができますが、医療の場合にはそういった選別は困難です。 EmendoBioでは、ゲノム編集を医療に応用するにあたり、オフターゲット効果を排除し、医療にも安全に使うことができる、高精度なゲノム編集治療の開発を行っております。 EmendoBioでは、来年度臨床入りする予定のゲノム編集治療に関して、その非臨床試験の成績やゲノム編集ツールの開発について一連の学会発表をしておりますので、今後、このブログの場をお借りして、5回シリーズでその内容をご紹介してまいります。 【第1回】ELANE関連重症先天性好中球減少症のゲノム編集治療【第2回】ELANE関連SCNのゲノム編集治療開発における非臨床試験成績【第3回】SNPを標的としたゲノム編集戦略【第4回】有害機能を獲得した遺伝子を確実に削除するためのゲノム編集戦略【第5回】新規ゲノム編集ツールの探索技術:OMNI プラットフォーム

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2021.11.08

新型コロナウイルスワクチン開発に関する一部報道について

一部報道におきまして、当社が新型コロナウイルスワクチン開発を断念との記事がございました。当社は昨年の3月以来当該DNAワクチンの開発を進めて参りましたが、液性免疫、つまり抗体上昇については満足できる結果ではありませんでした。しかしながら、臨床試験において安全性の観点から問題ないことも確認され、引続き8月から高用量製剤の臨床試験を進めているところです。当社は、これからますます安全性の高いワクチンが求められている状況から、さらに副反応が抑えられた安全性の高いDNAワクチンを実現したいと願っており、当該ワクチンの開発を断念することなく進めていますことを改めましてお知らせしたいと思います。

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2021.10.13

高血圧DNAワクチン 治験結果に関する論文発表のお知らせ

弊社が開発を進めている、高血圧DNAワクチンについて、オーストラリアでの第1相/前期第2相臨床試験の結果の論文を、この度、10月17日(日)に行われる、第43回日本高血圧学会総会Late breaking abstractsで発表することになりましたので、お知らせいたします。 ※第43回日本高血圧学会総会 https://www.okinawa-congre.co.jp/jsh43/

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2021.10.11

株主様向けオンライン会社説明会 事前質問に対する回答(後編)

本ブログでは、会社説明会 事前質問に対する回答(後編)と題して、HGF遺伝子治療用製品やNF-κBデコイオリゴ、高血圧DNAワクチン、その他企業全般に関するご質問への回答をレポート形式で紹介いたします。 ※会社説明会の資料はこちらから。https://www.anges.co.jp/pdf_ir/public/100555.pdf ◆HGF遺伝子治療用製品関連 質問:「コラテジェン®」の条件及び期限付き承認後の状況は順調に思えるが、 予定の120症例の市販後調査の完了後に、速やかに本承認にこぎつけることは可能なのでしょうか? また、その先のビジネスの展望も含めて教えてください。 回答:ご質問、ありがとうございます。 国内での慢性動脈閉塞症の潰瘍の市販後調査は順調に進んでおり、120症例の市販後調査が終了次第、本承認を取得すべく申請をして参ります。なお、国内につきましては、田辺三菱製薬社が「コラテジェン®」の独占的な販売権を持っておりますので、同社にて販売をしていただくことになっています。 質問:「コラテジェン®」は、米国でも(後期第2相)臨床試験を進めていますが、米国内の市場規模やビジネスの展望を教えてください。 回答:ご質問、ありがとうございます。 「コラテジェン®」の後期第2相臨床試験は、米国では昨年から始まり、計画通り順調に進められております。特に米国における慢性動脈閉塞症の患者数は非常に多く、世界の中でも大変重要で、成功(上市)した暁には、この市場が弊社の大黒柱になると考えています。そしてまた、米国の市場についても、田辺三菱製薬社が独占的な販売権を持っておりますので、同社が販売をすることになります。 進捗については、都度報告申し上げますので、ご理解いただきたいと願っております。 ◆腰痛症向けNF-κBデコイオリゴDNA関連 質問:東京医科歯科大学より、「NF・kBデコイの幼若永久歯(ようじゃく えいきゅうし)の再植後の治癒の促進」の研究成果発表がありましたが、御社からブログ等での発表や説明の予定はないのでしょうか?}進捗具合や市場規模など、とても興味があります。 回答:ご質問、ありがとうございます。 東京医科歯科大学からのニュースリリースですが、弊社では、今後の進捗・成果を見ながら、ビジネスという観点から開発の可能性を検討してまいりたいと思います。 ※東京医科歯科大学 2021年8月24日プレスリリース 「NFκBデコイ核酸医薬による幼若永久歯の再植後の治癒の促進」 https://www.tmd.ac.jp/files/topics/55731_ext_04_2.pdf ◆高血圧DNAワクチン関連 質問:高血圧DNAワクチンの第1相/前期第2相臨床試験の患者投与が完了していますが、今後の予定を教えてください。回答:ご質問、ありがとうございます。第1相/前期第2相臨床試験のデータを纏めて10月の日本高血圧学会で発表する予定です。またその後、さらなる臨床試験の計画を策定して参ります。◆その他企業全般 質問:年初に山田社長は、今年は「実」の年にしたい、とインタビューに答えられていましたが今年もあと数か月となりました。具体的な「実」の部分がどのように実っているのか教えて下さい。 回答:ご質問、ありがとうございます。コロナ禍の中で各プログラムの開発を進めてきましたが、 自社製品であるHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の国内外での開発、 米国における腰痛症治療薬の開発、およびオーストラリアにおける高血圧DNAワクチンの開発につきましては、着実に進捗しております。 それぞれ次のステージを目指しており、これからの計画案につきまして、「実」なるものが見えて参りました。その意味でも実の見える年になってきたと認識しております。 今後、それぞれの進捗に応じまして、その実態をお伝えして参りたいと思っております。 また、新型コロナウイルス治療薬(AV-001)につきましても、前期第2相臨床試験を進めるための米国FDAとの交渉も順調に進んでおり、臨床入りを近々予定しております。 新型コロナウイルスDNAワクチンは、国家プロジェクトとして進められており、進捗に応じて報告して参ります。各プロジェクトとも、それぞれ次の展望が見えるところまでやってまいりました。つまり「実」が見えてきた、と解釈しております。 今年も残りあとわずかですが、将来像を年末までにさらに築き上げてまいりたいと思います。 その他にも、株主の皆さまより応援のメッセージを多く頂戴いたしました。各プロジェクトに対して、全社を上げて尽力してまいりますので、 今後ともご支援の程、どうぞよろしくお願い致します。

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