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2022.01.05

広報から新年のご挨拶と山田社長へのインタビュー

謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。 新年最初のブログは、私たち広報チームから山田社長へのインタビューとなります。 本年もアンジェスをどうぞよろしくお願いいたします。 広報Q:2021年は「実(じつ)」の年にしていきたいとお話されておりましたが、 昨年1年間を振り返っていかがでしたでしょうか? 山田社長A:2021年初めに掲げた「実(じつ)」に向けて、 (1)新型コロナウイルスのワクチン/治療薬、(2)HGFの国内本承認に向けた市販後調査/適応拡大に向けた第III相臨床試験/米国での後期第II相臨床試験、(3)NF-kB(腰痛症)の後期第I相臨床試験、(4)高血圧DNAワクチン、さらには、(5)ゲノム編集の具体的なプロジェクト化など、それぞれのプロジェクトにおいて、社員一丸となり尽力してまいりましたが、皆様にお知らせするには、想定していたよりも時間を要してしまいました。 日頃より弊社をご支援いただいている株主の皆さまをはじめ、各プロジェクトでご協力いただいている研究機関の皆様やその他関係者の皆様、そのご家族の皆様、そして弊社従業員を含めてアンジェスという一つの企業体として考えると、実りある年にすべく共に耐えていただいた、そういう一年だったのではないかと考えてございます。 広報Q:2022年は、漢字一文字で表すと、どんな年にしていきたいですか? 山田社長A:ひと言で申しますと、「進」ではないでしょうか。 現在進めております、各プロジェクトの研究開発を着実に前「進」・「進」化させていく所存です。 また、本年は会社全体の戦略として新しい展開を考える一つの大きなタイミングと捉えております。アンジェスが、これからますます発展し、進化していく端緒になる年にしていきたいと考えております。本年も引き続き、皆様のお力添えをお願いしたく存じます。

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2021.12.28

年末年始の営業についてのお知らせ

平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 誠に勝手ながら、2021年12月29日(水)から2022年1月4日(火)まで、年末年始休業日とさせていただきます。 年始は、2022年1月5日(水)より営業いたします。 恐れ入りますが、何卒ご理解いただきますよう、宜しくお願い申し上げます。

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2021.12.20

EmendoBioのゲノム編集技術について【第5回】-最終回-新規ゲノム編集ツールの探索技術:OMNI プラットフォーム

今回は、両親から受継いだ2つの遺伝子上のわずかな違いをも区別できる超高精度なヌクレアーゼを作り出す技術プラットフォームについてご説明いたします。 CRISPRヌクレアーゼを用いたゲノム編集ツールはガイドRNAとヌクレアーゼの複合体で構成され、ガイドRNAが規定する塩基配列と一致するDNA配列をゲノムの中から探し出し、その部位にヌクレアーゼを誘導してDNAを切断します。しかし、完全に一致していなくても、誤って切断することがあり、たまたま似た配列を持つ全く関係ない遺伝子を傷つけてしまうオフターゲット効果によるリスクが問題となっています。 EmendoBioでは、オフターゲット効果を排除し、患者の治療として安全に使うことのできる新たなゲノム編集ツールを作出する技術(OMNI Platform)を確立しました。 まず、細菌叢等を含む広大な微生物のゲノム情報から、バイオインフォマティクスの技術を駆使して、CRISPRヌクレアーゼの機能を有していると推定される遺伝子を検索し、新たなヌクレアーゼ候補遺伝子を見出します。次に、数多くの候補遺伝子から、実際にゲノム編集に使えるもののみを選別するため、多検体を効率的にスクリーニングできるシステムにより、タンパク質としてのサイズやヌクレアーゼ活性の強さ、標的認識の精度の高さなど様々な性質について篩(ふるい)にかけ、特徴的で有用なヌクレアーゼを多数取得しています。 これらの新規なヌクレアーゼの中には、一般に用いられているspCas9ヌクレアーゼと比べてオフターゲット効果が格段に抑えられていることが確認できているものがあります。 この新しく発見されたヌクレアーゼ(OMNIヌクレアーゼ)は、それ自体、従来のspCas9ヌクレアーゼと比較すると標的認識の精度は格段に高いのですが、両親から受継いだ2つの遺伝子間の1ヶ所の違いを区別するためには、さらに精度を上げる必要があります。このため、得られた新規ヌクレアーゼを標的配列ごとに最適化する技術を確立しました。これは、ヌクレアーゼタンパク質の遺伝子に人為的に変異を入れた変異体ライブラリを作成し、この中から、特定の標的に対するガイドRNAとの複合体として、超高精度かつ高活性のゲノム編集ツールを探し出すスクリーニング系です。EmednoBioで開発中のELANE関連SCNの治療では、このようなスクリーニング系によって得られた超高精度のヌクレアーゼを用いて、両親から受継いだ2つの遺伝子のうち、変異がある方の遺伝子のみを削除するゲノム編集を行います。 このような精度を有するゲノム編集技術は、あらゆるゲノム編集治療を安全に行うために必須な技術であり、CAR-T療法の改良など、遺伝子疾患の治療以外にも、様々な臨床応用が期待されています。 バックナンバー 【第1回】ELANE関連重症先天性好中球減少症のゲノム編集治療 【第2回】ELANE関連SCNのゲノム編集治療開発における非臨床試験成績 【第3回】SNPを標的としたゲノム編集戦略 【第4回】有害機能を獲得した遺伝子を確実に削除するためのゲノム編集戦略

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2021.12.13

EmendoBioのゲノム編集技術について【第4回】有害機能を獲得した遺伝子を確実に削除するためのゲノム編集戦略

第4回目は、有害機能を獲得した遺伝子を確実に削除するためのゲノム編集戦略について、説明します。 先回は、SNPを標的としたゲノム編集戦略について説明しましたが、DNAをSNPの部位で切断するだけでは、有害な遺伝子を確実に削除することはできません。 CRISPRヌクレアーゼを用いたゲノム編集では、ガイドRNAとヌクレアーゼの複合体が標的DNA配列を切断しますが、切断されたDNAは細胞が内在している修復機構によってつなぎ合わされます。この時、全く元通りに修復されると、その配列は再びゲノム編集の標的になりますが、切断・修復を繰り返すうち、修復の際に塩基の挿入や欠失が起きることがあり、結果的に元の配列と異なった配列となり、DNA配列の編集が成立します。このようにしてDNA配列が変化することによって、遺伝子が働かなくなることが期待できるのですが、どのように修復されるのかは制御できないので、修復のされ方によっては、さらに有害なタンパク質が作り出されてしまう可能性も否定できません。 そこで、EmendoBioの編集戦略では、上記SNPの他にもう1ヶ所、アミノ酸配列を規定しない遺伝子配列(共通切断点)を選び、その箇所も標的として、2か所でDNAを切断し、病気の原因となる遺伝子のDNA配列の大部分を削除することによって、修復後に有害なタンパク質が出来てしまうリスクを排除しています。 継いだ2つの遺伝子のうち、病気の原因となる変異が存在する遺伝子上のSNPの配列を切断しますが、もう1ヶ所は、SNPではなく、2つの遺伝子とも同じ配列を持つ部位を切断します。この時、病気の原因となる変異をもつ遺伝子は2か所で切断され、切断された断片は削除されます。もう片方の正常な遺伝子は、SNPの配列では切断されませんが、もう1ヶ所は切断され、すぐに修復されます。修復の過程でDNA配列が変化することになりますが、この部分は、アミノ酸配列を規定していない部分なので、変化してもタンパク質の構造に影響を与えません。 実際に患者の造血幹細胞にこの方法でゲノム編集を施した結果について、第2回でご説明していますが、有害な機能を獲得して病気の原因となっている遺伝子が削除されると、もう片方の遺伝子の働きによって、造血幹細胞から好中球への分化・成熟する能力が回復していることが示されております。この時、異常のあるELANE遺伝子は削除され、同時に、正常なELANE遺伝子の方も、一旦切断され、切断部位のDNA配列が変化した状態でつなぎ合わされているはずですが、正常なELANE遺伝子は正しく機能していたことが解ります。 次回は、両親から受継いだ2つの遺伝子上のわずかな違いを区別できる精度の高いヌクレアーゼを作り出す仕組みについてご説明いたします。

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2021.12.06

EmendoBioのゲノム編集技術について【第3回】一塩基多型(SNP)を標的としたゲノム編集戦略

ある生物種集団のゲノムDNA配列中に一塩基が変異した多様性が見られ、その変異が集団内で1%以上の頻度で見られる時、これを一塩基多型(SNP : Single Nucleotide Polymorphism)と呼びます。第3回目は、このSNPを標的としたゲノム編集戦略についてご説明いたします。 先回は、EmendoBioが開発中のELANE関連SCNのゲノム編集治療に関する非臨床試験で、健常人の造血幹細胞を用いた試験について紹介しました。健常人の造血幹細胞には病気の原因となる遺伝子変異はないのに、どうしてゲノム編集が可能なのか、今回は、この辺りの事情について、ご説明いたします。 第1回目のお話で、この病気が、両親から受継いだ2つ遺伝子のうちの片方の遺伝子のたった1ヶ所の違い(変異)によって発症すること、また、2つ遺伝子間のたった1ヶ所の違いを区別してゲノム編集することをご説明しましたので、治療では、病気の原因となる変異を標的にするものと考えがちですが、EmendoBioでは、それとは異なる編集戦略を構築しています。 遺伝子疾患はある遺伝子のたった1ヶ所の変異により発症することが多いのですが、その変異が遺伝子のどこにあるかは、患者ごとで様々です。現在EmendoBioで取り組んでいるELANE遺伝子に関しては、200種を超える変異が報告されています。病気の原因となる変異を標的にしようとすると各々の患者の変異に合わせて200種ものガイドRNAを設計することになってしまいますが、EmendoBioでは数種のガイドRNAによって、多くの患者のゲノム編集が可能な編集戦略を構築しました。 ある生物種集団のゲノムDNA配列中に一塩基が変異した多様性が見られ、その変異が集団内で1%以上の頻度で見られる時、これを一塩基多型(SNP : Single Nucleotide Polymorphism)と呼びます。両親から受継いだ2つの遺伝子のDNA配列はほとんど同じですが、ところどころにSNPが存在しています。これらの変異は通常、直接病気の原因となることはありません。つまり、遺伝子には、病気の原因となる変異の他にも違うところがあるということになります。両親から受継いだ2つの遺伝子上のSNPのDNA配列は異なる場合と同じである場合とがあり、各SNPによってその確率は異なります。 EmendoBioではELANE遺伝子上に存在することが知られているSNPの中で、両親から受継いだ2つの遺伝子間でDNA配列が異なる確率がなるべく高いSNPを3ヵ所見つけておけば、80%以上の患者でどれかのSNPは両遺伝子間で配列が異なり、標的にできることを調べ上げました。そこで、患者の遺伝子を詳しく調べ、両親から受継いだ2つの遺伝子間でDNA配列が異なるSNPを見つけ、そのSNPを標的としてゲノム編集を行う戦略を立てました。 このことにより、患者ごとに200種類ものガイドRNAを設計しなくても、数種類のガイドRNAを用意すれば、多く患者に適用することが可能になります。また、非臨床試験において、健常人の造血幹細胞を用いることもできるわけです。 次回は、毒性を獲得した遺伝子を確実に削除するためのゲノム編集戦略についてご説明いたします。

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