国際血管生物学会において、当社のHGF遺伝子治療用製品の臨床試験の経過報告が行われました
2022年10月13日~10月17日に、アメリカ・カリフォルニア州で、「The 22nd International Vascular Biology Meeting: IVBM2022」(※1)が開催されました。
本シンポジウムにて、
当社のHGF遺伝子治療用製品の米国での臨床開発を進めるにあたりご指導頂いている、
南カリフォルニア大学医学部のDavid Armstrong教授が講演を行い、以下の内容が報告されました。
1.糖尿病性足潰瘍に挑戦する意義
全世界で約4億3500万人が糖尿病に罹患しており、19-34%(約8,300万-1億4800万人)が糖尿病性足潰瘍を発症すると推定されています。糖尿病性足潰瘍の5年間における死亡率は約30%で、各種がん患者を平均した死亡率に相当します。
また、一度治癒した患者の潰瘍の再発率は、1年後では40%、5年後では65%と高い状況です。
米国における糖尿病治療の費用(直接費、2017年推計)は2370億ドルで、その1/3が糖尿病性足潰瘍の治療に関連すると推定され、その額はがん患者の治療費(800億ドル、2015年推計)に相当します。
がん治療への挑戦はよく知られていますが、糖尿病性足潰瘍の治療はこれに匹敵するような大きな課題です。
糖尿病性足潰瘍に対して今後期待される治療は、
1)細胞治療
2)組織特異的リモデリングによる皮膚再生
3)グロースファクター(遺伝子治療を含む)
4)酸素暴露(局所、全身)などが考えられますが、
HGF遺伝子治療用製品による遺伝子治療は「3)グロースファクター(遺伝子治療を含む)」に位置づけられ、
早期の実用が望まれています。
2.当社の臨床プロトコールの紹介
HGF遺伝子治療用製品の、側副血行(※2)を含む血流増加作用、この作用機序に基づいた糖尿病性足潰瘍への有効性、ならびに高い安全性が総括されました。 また、グローバル治療指針(Global Vascular Guideline)に則り、米国での後期第2相臨床試験は順調に進捗しており、現在は目標症例の90%の登録が完了しました。
※1 IVBM2022について
North American Vascular Biology Organization(北米血管生物研究会)が主催する総会。
日程:2022年10月13日~10月17日
会場:Oakland Marriott City Center https://www.ivbm2022.org/
※2 側副血行(そくふくけっこう)
血行障害により主要な血管に閉塞が見られた際に、血液循環を維持するために新たに自然形成される血管の迂回路