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2015.01.22

エボラ出血熱抗血清製剤について (1)抗血清製剤とは?

今回は1月14日にアンジェスMGが発表した「DNAワクチン技術を用いたエボラ出血熱抗血清製剤」について取り上げてみたいと思います。

(ご参照:2015年1月14日 アンジェスMGプレスリリース 「DNA ワクチン技術を用いたエボラ出血熱抗血清製剤の開発を開始」

エボラ出血熱には、予防ワクチンや治療薬が開発されていますが、現在、エボラ出血熱を適応症としたワクチン・治療薬で承認されているものはありません。

患者の治療には試験的に開発中の治療薬や、すでにウイルスに感染し回復した患者の血液や血清が試されている状況です。


まずは抗血清製剤とは何か、について書いてみようと思います。

「血清」とは、血液から血球を分離した上澄みの液体成分のことです。血清には免疫の主役である抗体が含まれています。

「抗体」とは免疫グロブリンという名前のタンパク質です。

通常の免疫システムのお話になるので、ご存知の方は多いと思いますが

異物が体内に入ると、体内では、その異物に特異的にくっつく抗体がつくられます。抗体がくっつくと、免疫細胞はそれを異物だと認識するようになり、その異物を排除するように働きます。

ウイルスは、体内に入るとまず細胞に吸着し、細胞膜に穴を開けて細胞内へと侵入し、増殖してゆきます。ウイルスの表面には細胞に吸着するための吸盤のような機能を持つタンパク質があるのですが、そのタンパク質を認識する抗体があらかじめ体内にあれば、抗体がそのタンパク質に先にくっついてその機能を邪魔することで、ウイルスが細胞内に入り込めないようにすることができます。

予防ワクチンと抗血清製剤について簡単にまとめると、もちろん予防を目的としているか治療を目的としているかが違いますが、どちらも免疫に関係していることは言うまでもありません。

予防ワクチンは、病原体あるいは毒素の毒性を弱めたり失わせたりしたもの(抗原)を、投与して免疫をつけるというもので、インフルエンザ予防ワクチン等が代表例です。しかし、体内で新しく抗体を生産できるようになるには数週間かかってしまいます。ですからインフルエンザ予防ワクチンは秋頃に接種して、シーズン到来に備えるのですね。

抗血清製剤は、特定の病原体や毒素に対する抗体を高濃度に含む血清を、その免疫のない人に接種することで、免疫が元々あったような効果をあたえます。ですから予防ワクチンと違って、即座に効果を発揮するので、異物が体内に侵入してしまった時に治療薬として使うことができます。

抗血清製剤は、ウマに病原体や毒素等を注射し、血液中に抗体をつくらせてから、血清を採取し精製して製造します。抗血清製剤には、毒ヘビにかまれたときや、ボツリヌス菌食中毒がおきたときの治療薬として使われてきた長い歴史があります。


次回はDNAワクチン技術について書いてみたいと思います。

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