遺伝子治療の潮流
8月9日の日経新聞に「帰ってきた遺伝子治療」という記事がありましたが
最近の報道にもあるように遺伝子治療は再び脚光を浴びています。
2012年に先進国初の遺伝⼦治療薬(uniQure社Glybera-LPL⽋損症)が欧州で承認され、大手製薬会社であるBristol-Myers SquibbがこのUniQure社と今年大型契約を締結―その他大手も相次いで遺伝子治療に参入するなど、
遺伝子治療の実用化時代が到来し世界的に注目が高まっていると言えます。
さらに国内では、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する「条件及び期限付承認制度」が開始され、世界に先駆けていち早く遺伝子治療薬が実用化できることになりました。
このように遺伝子治療をとりまく環境は年々大きく変わっています。
日本は遅れをとっていたところがありますが、これからの進展に期待大です。
さて、今回は2015年7月24日(木)~26日(日)に大阪にて開催された日本遺伝子治療学会について、少しだけご紹介します。
正式には「第21回日本遺伝子治療学会学術集会」です。
※日本遺伝子治療学会は「日本遺伝子細胞治療学会」に名称変更することが今回の学会で決まりました。
遺伝子治療薬の開発を行うアンジェスMGにとっては、とくに重要な学会であることは言うまでもありません。
学会では国内外から多くの臨床ステージにある遺伝子治療の開発状況が報告されていました。最新の動向だけではなく、規制の面からも議論が行われ、「条件及び期限付承認制度」に関しては、「世界が注目しており、日本が遺伝子治療の戦場になるのでは」という意見もありました。
また、今回の学会で議論されたテーマに「ゲノム編集」がありました。
これは、今年の4月に中国の研究チームからヒト受精卵のゲノム編集を行ったとする論文発表があったことをうけ、世界的に議論されていたものです。ヒト受精卵のゲノム編集は現時点では技術的にも倫理的にも課題があり、その後の世代まで影響がある可能性があることから、日本遺伝子治療学会は米国遺伝子細胞治療学会と共同で、課題が解決されるまで禁止されるべきであるとする、日米共同声明 “ASGCT and JSGT Joint Position Statement on Human Genomic Editing”を発表しました。
アンジェスMGは遺伝子治療学会において「アンジェス賞」の授与を毎年行っています。この賞は遺伝子治療全体の発展を目的として平成 22 年に創設され、遺伝子治療研究の発展に大きな貢献をされた研究者に授与されるものです。
今回の受賞者は、アンジェスMGの お知らせ をご参照ください。
 
写真は受賞式の様子(左)、賞状と記念品(右)
さらにアンジェスMGは “Clinical Advances in DNA Vaccines”と“The Current Status and Prospects for Gene Therapy” というテーマの2つのセミナーの共催も行いました。いずれも盛会となり、参加した先生方の関心の高さがうかがえました。どちらもアンジェスMGにとっても重要なテーマです。
これからの遺伝子治療の発展に期待していきたいと思います。