2016.08.25
遺伝子治療の進展
本日8月25日付の朝日新聞に遺伝子治療に関する報道があり、近年の遺伝子治療でのベクター技術の改善や、ゲノム編集の研究が進んでいることが取り上げられています。
あらためて遺伝子治療について少し書いてみます。
世界初の遺伝子治療は、1990年に米国で、先天的な免疫不全症であるADA欠損症の患者さんを対象に実施されました。しかし、初期の遺伝子治療ではウイルスベクターが原因と考えられる副作用の問題があり、遺伝子治療が停滞した時期もありました。しかし、現在は遺伝子を患部に届けるためのベクター技術の進歩や、治療対象となる疾患の拡大により、遺伝子治療は実用化に向けた転換期に入っていると言えます。
 
なお、現在はウイルスベクターの技術が改良され、安全性も向上していますが、 アンジェスがこれまで開発を進めてきたHGF遺伝子治療は、ウイルスベクターそのものを使用しないため、安全性が高いことが期待されます。
今年の7月に行われた日本遺伝子細胞治療学会(旧 日本遺伝子治療学会)の学術集会のテーマは「遺伝子治療が標準治療となるために」。歴代で一番の参加者数であったそうです。
アンジェスは毎年この学会において、遺伝子治療全体の発展を目的として、遺伝子治療研究の発展に大きな貢献をされた3名の研究者に「アンジェス賞」及び「アンジェストラベルグラント賞」を授与しています。
今年の受賞式の様子:
遺伝子治療が標準治療となるために。アンジェスもより一層の努力を重ねてまいります。