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2021.11.29

EmendoBioのゲノム編集技術について【第2回】ELANE関連SCNのゲノム編集治療開発における非臨床試験成績



第2回目は、ELANE関連SCNのゲノム編集治療開発における非臨床試験成績について、ご説明いたします。


重症先天性好中球減少症(SCN)のうち、ELANE関連SCNはELANE遺伝子の異常により、造血幹細胞から好中球への分化・成熟が阻害され、血液中の好中球数が極端に減少する疾患です。

EmendoBioで開発中の治療では、患者から採取した血液から造血幹細胞を分離し、体外でゲノム編集を行った後、患者に輸注して戻します。ゲノム編集された自家造血幹細胞は患者の骨髄に生着し、一度の治療によって、一生に亘って好中球数を正常値に維持することが期待されます。


EmendoBioでは、ワシントン大学のDavid Dale博士との共同研究で、実際の患者から採取した造血幹細胞を用いてゲノム編集を行い以下の結果を得ております。


・病気の原因となる変異を持つ遺伝子は削除されたが、もう片方の正常な遺伝子は削除されることはなかった。


・異常のある遺伝子が削除された造血幹細胞は、培養容器で培養したとき、もう片方の正常な遺伝子の働きにより、好中球へ分化成熟することが確認された。


これとは別に、採取したヒト造血幹細胞にゲノム編集を施し、実験動物(ヒト細胞を拒絶することなく受け入れることができる免疫不全マウス)に移植したところ、片方のELANE遺伝子が削除されたヒト造血幹細胞は、マウスの骨髄や脾臓において、様々な系統の細胞に分化した状態で確認され、造血幹細胞としての多分化能を維持していたことが確認できました。

今後、ゲノム編集を施した患者の造血幹細胞を免疫不全マウスに移植する実験を経て、いよいよ、ゲノム編集を施した患者の造血幹細胞をその患者に自家移植して、臨床効果を確認する治験を開始します。

ところで、上記の試験のうち、培養容器で分化の状態を観察した試験は、患者由来の造血幹細胞を用いていますが、免疫不全マウスに移植する試験は、多くの細胞数を必要とすることから、健常人の造血幹細胞を用いております。

健常人の造血幹細胞のELANE遺伝子には異常はありませんが、両親から受継いだ2つの遺伝子のうち片方のELANE遺伝子のみを削除しています。どうしてこのような実験が可能なのか?これには、EmendoBioで開発した特殊なゲノム編集戦略が関係しております。


次回は、この特殊なゲノム編集戦略についてご紹介します。

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